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特殊卵について
今回はいわゆる「特殊卵」についてのお話です。特殊卵といったら有名なのは何と言っても「ヨード卵」でしょう。
では、この「ヨード卵」とは何でしょう?これは鶏の飼料に海藻粉末などを配合することによって、一般の卵よりヨウ素(ヨードとヨウ素は同じものです)を多く含んだ卵です。では、ヨウ素とはなんでしょうか?ヨウ素とは人間の体内で甲状腺ホルモンを合成するのに必要な成分で、海水中に多く存在するため、海藻類や魚介類に豊富に含まれている栄養素です。ちなみに成人の一日の必要なヨード量は0.15mgとされておりますが、日本人は平均して海産物を多く食べるため1人1日当たり1.5mgを摂取しています。つまり平均的な日本人にとってヨウ素とは過剰摂取に気をつけるべきものであり、決して不足を気にするような栄養素ではないということです。そもそもヨード卵とは、大陸の中央部など海を見たこともないような環境下でヨウ素を摂取する機会がほとんどない人に、ヨウ素欠乏症による甲状腺異常が多く発生したため、その予防として海外で考案されたものなのです。ちなみに、それを日本に紹介したのは東北大学の波多野 正 教授で1950年代の話です。
ではなぜこんなものが日本で発売されたのでしょう?これは要するに「差別化」の一つです。一般的にヨード卵に対しては「ヨードってよく知らないけれど、ほかの卵より高いし何か栄養が多いなら体に良さそう」というイメージを持たれる方が多いと思います。そこを(チョット言葉は悪いですけど)利用したものです。そして、この「ヨード卵」は養鶏家にとっても非常に大きなメリットがありました。ヨード卵を生産するために必要なことは飼料に海藻粉末を混ぜるだけで、この作業は飼料会社が行ってくれます。その後はいつもと同じように鶏に餌を与え、いつもと同じように卵を産ませれば、いつも以上に高い値段の卵が生産できます。一般的な卵はいわゆる「物価の優等生」で、養鶏家にとってはメリットの少ない存在です。しかしこの「ヨード卵」は、少しだけ高い餌を与えれば、それ以上の追加投資なしに非常に高い卵が生産できる、まさに夢のような存在なのです。
この「ヨード卵」での成功体験は以降の全国の養鶏場経営に大きく影響を与えたといっても過言ではないのですが、その話はまた次の機会に...